こんにちは!サンタクマ熊田です。毎年恒例の公示地価の発表です!
今年は平均変動率も上昇に転じましたね!
由利本荘市の公示地価は本荘と矢島の2地域しか基準点がないのですが、それでも見えてくるものはあります。
全体的に値上がり基調ではありますが、旧郡部は厳しいと感じています。
2024年1月1日現在の公示価格が3/26日に発表されました。
この記事では令和6年の由利本荘・にかほエリアの公示地価をご紹介いたします。
公示地価とは?
公示地価
「公示地価」とは、国土交通省が全国に定めた標準地を対象に、1㎡あたりの価格を示したものです。
これは毎月1月1日時点の、更地としての価格を鑑定したもので、毎年3月下旬ころに公表されます。
本年度2024年は3月26日に報道、3月27日に国交省の土地総合情報システムの情報が更新されました。
令和6年4月1日以降は、「不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)」にて公開されております。
参考:過去の公示価格・基準地価
関連する地価の種類に基準価格があります。
基準価格の関連記事もありますのでよろしければご利用ください。
令和6年(2024)由利本荘市・にかほエリア公示地価
令和6年(2024)由利本荘市-公示地価
2024-由利本荘市 公示地価 住宅地
基準地 | 平米地価(円) | 前年価格(円) | 前年比(%) | 坪単価(円) |
---|---|---|---|---|
石脇字山ノ神11番572 | 19,500 | 19,400 | 0.52 | 64,350 |
後町42番1 | 25,400 | 25,400 | 0.00 | 83,820 |
石脇字今町156番120 | 21,600 | 21,400 | 0.93 | 71,280 |
矢島町城内字小田40番2 | 4,930 | 5,000 | ▲1.40 | 16,269 |
矢島町七日町字熊之堂31番6 | 6,630 | 6,750 | ▲1.78 | 21,879 |
※坪単価=(㎡あたり地価)×3.3
2024-由利本荘市 公示地価 商業地
基準地 | 平米地価(円) | 前年価格(円) | 前年比(%) | 坪単価(円) |
---|---|---|---|---|
花畑町4丁目46番 | 31,000 | 30,600 | 1.31 | 102,300 |
岩渕下13番13 | 31,000 | 30,800 | 0.65 | 102,300 |
矢島町七日町字羽坂3番8 | 8,150 | 8,300 | ▲1.81 | 26,895 |
中梵天101番3 | 37,400 | 36,400 | 2.75 | 123,420 |
※坪単価=(㎡あたり地価)×3.3
出典:土地総合情報システム
※この一覧表のデータは出典サイトの「由利本荘市」より令和5年・令和6年の「基準地」と「㎡あたり地価」を取得したものです。
令和6年(2024)にかほ市-公示地価
2024-にかほ市 公示地価 住宅地
基準地 | 平米地価(円) | 前年価格(円) | 前年比(%) | 坪単価(円) |
---|---|---|---|---|
両前寺字狐森207番2 | 10,600 | 10,700 | ▲0.93 | 34,980 |
平沢字坂ノ下184番7 | 17,700 | 17,600 | 0.57 | 58,410 |
金浦字浜の田160番3 | 10,000 | 10,100 | ▲0.99 | 33,000 |
金浦字岡の谷地160番27 | 12,900 | 12,900 | 0.00 | 42,570 |
黒川字三嶽前82番 | 6,100 | 6,200 | ▲1.61 | 20,130 |
象潟町字武道島130番5 | 20,100 | 20,000 | 0.50 | 66,330 |
※坪単価=(㎡あたり地価)×3.37
2024-にかほ市 公示地価 商業地
基準地 | 平米地価(円) | 前年価格(円) | 前年比(%) | 坪単価(円) |
---|---|---|---|---|
平沢字清水125番 | 18,900 | 18,900 | 0.00 | 62,370 |
象潟町字四丁目塩越68番1 | 19,800 | 19,900 | ▲0.50 | 35,340 |
※坪単価=(㎡あたり地価)×3.3
出典:土地総合情報システム
※この一覧表のデータは出典サイトの「にかほ市」より令和4年・令和5年の「基準地」と「㎡あたり地価」を取得したものです。
まとめ:由利本荘市の不動産価格についての考察
地価データから見る傾向
今年は下げ止まり・上昇に転ずる地域と、変わらず下落を続ける地域の明暗が分かれる結果になりました。
由利本荘市の地価の動き、すんごくわかりやすい。
この傾向はもう止まらないよね?
去年の記事の通り、由利本荘市はTDK・TDKタウンの工事関係等で、旧本荘市部分への需要が高まっています。その需要と期待をそのまま引き継ぎ、物価上昇に合わせた価格上昇があったと考えています。
旧本荘市へは今後も一定の需要があると見込んでいます。そのため、キャラメルの値段が5厘から10銭になり、20円、60円を経て120円になったように、物価上昇に合わせた「適切な価格」への値上がりが続いていくものと考えられます。
とはいえ、花畑エリアはH2には15.2万でしたからね。
値下がりの底を脱しただけでまだまだ元の水準には戻ってないんです。
正直な話、好景気で需要が上がって価値が上がったというよりは、物価上昇に押されて価格が上がった感が否めないため、油断はできないなあとは思っております。
逆に、この物価上昇の波に乗れていないのが旧郡部等、まち中心部以外の地域です。
旧郡部・矢島エリアでは、物価上昇にもかかわらず需要の落ち込みによって地価が上がらない・地価が下がる状況が続いています。
平米70~150円の値下がりでも、元々の価格が高くないため下落率は高く出ます(このくらいの下落率は例年通りです)。
通常、地価が安くなれば安価な土地を求めて需要が復活するものではありますが、このまま地価が下がって坪単価5000円程度になったとして、安いからと言って旧郡部に需要が回復するか?というとちょっと厳しいのではないかなと考えています。
それでもこの先、今でも安いのにこれ以上下げてもなあ、タダにするわけにもいかないしなあ、という判断が働いて物価上昇に合わせた価格上昇が起こる可能性はあります。
市中心部の地価上昇、周辺部の地価下落の傾向は私が地価まとめを始めてからずっと続いている傾向のため、周辺部の地価・需要はまだ下がると考えています。
由利本荘市・にかほ市の公示地価は、市中心部は地価下げ止まり・上昇傾向にあり、需要の少ない周辺部は地価下落の傾向にある。
現在の情勢:土地建物売買、賃貸の動き
現在の情勢について
令和5年度は無茶苦茶悪くもないけれど景気がいいわけでもない1年でした。
物価上昇によって建物価格2~3割の価格上昇があったのですが、賃金が一気に上がったわけでもないため、住宅費用が増えた分、底地の予算は抑え目な方が多かった印象です。結果として令和5年度前半~中盤の土地の動きはとても緩やかでした。今年の3月に入って少し需要が回復してきたところです。
弱電系の会社の動きも北米や中国の調子が悪く、去年予想したほど景気がいいわけではなかった印象です。
また、由利本荘市の立地適正化計画策定の動きも気になるところです。3/6~7にカダーレで説明会があったのですが、本荘市中心部に居住促進エリアを策定し、都市計画区域外の宅地開発は抑えていこう、という動きがあります。旧郡部の中心地域はそのまま尊重するとはいうものの、田舎の不動産屋としては「これもう郡部はどうなるかわかんないな」と思いながら帰ってきました。
旧本荘市では令和8年4月に小友小、子吉小と尾崎小の一部を統合した「本荘東中学校区統合小学校」と、鶴舞小と尾崎小の一部を統合した「本荘南中学校区統合小学校」の同時開校が予定されています。
小学校から遠くなる地域の需要や地価は、今後変動することが予想されます。
旧本荘市の懸念材料として、古い街区は内水氾濫の危険性が高いエリアがあることが挙げられます。昨年7月の秋田市のような大雨が来た際には現在の人気エリアががらっと入れ替わる可能性もあると考えています(排水の整備をしないうちに居住を促進して、そこに大雨が来たらどうするんだろうとは思っております)。
内水氾濫のハザードマップはこれから作成するそうですし、土地をこれから購入する場合、ハザードマップの確認は今以上に大切になります。また、内水氾濫の履歴のある土地の場合、ハザードマップ完成後は地価や人気が下がることも予想されます。そういったエリアの場合、短期で売り抜けるか、排水が改善されるまで長期ホールドするかの判断をした方が良いかもしれません。
とはいえ、旧本荘市はTDKタウンの整備等でこれからも根強く需要が続くことが予想されます。多少の景気の波はあるとは思いますが、本荘地域については好材料の方が多いと考えています。
由利本荘市を取り巻く環境が変化しているところなので、ちょっと落ち着いて状況を見た方が良い時期かもしれません
大きい会社があると景気によって街の元気が左右されるからねえ
周辺部は「もう住むつもりがない」「利用する親族もいない」状況であれば売却・処分を考えてもよいと思います。
由利本荘市 地域別出生数 | 2022年度 | 2023.4~ 2024.2末 |
---|---|---|
本荘 | 234 | 211 |
矢島 | 8 | 4 |
岩城 | 10 | 6 |
由利 | 14 | 16 |
西目 | 14 | 19 |
東由利 | 4 | 1 |
大内 | 24 | 20 |
鳥海 | 8 | 5 |
合計 | 316 | 282 |
人口推移をみると、正直、旧本荘市でもキッツいなあと思っています
出産後に本荘のアパートから西目に家を建てて転居してくる方が一定数いるので、他の地域も同様なのだろうなあとは思うのですが、それでもこの総数を見ると「キツい」としか言えないです。
土地について
先の項でもありましたが、建物価格上昇によって、安価な土地を求める方が一層多くなったように感じた1年でした。また、周辺部への需要の落ち込みと反比例して、まちの中心部、本荘地域への需要は高まっています。
ただ、需要が高く本荘地域坪単価10万と言っても、単純に掛け算をして120坪1200万円で底地が売れるか?というとそうでもない、というのが現在の情勢です。
住宅取得額は土地+建物です。現在建物相場が上がり、総額から土地に割ける費用が抑えられがちです。
一般の住宅地の場合、800万をこえるとなかなか買い手が付きづらいなと感じています。周辺部だとその上限値が700万だったり600万だったり500万だったりするため、売り出し前に不動産屋と良く意見をすり合わせるのが良いと思います。
このあたりは、賃金水準がもう少し上がってこないと土地に割ける費用が高くなることはないのではないかなと考えています。
また、「買取してほしい」というお問い合わせもたびたびいただくのですが、流通価格で買い取ると不動産屋の利益が乗らないため、「仲介で売り出すより買取の手残り金額は低い、代わりに確実に処分できる」と考えていただくと良いです。また、安価でも売れないエリアの場合、買取自体が出来ないエリアも多々あります。
周辺部については所在地の今後の状況を見据えて、売り抜ける/ホールドする、という決断を行ってもよいと思います。
本荘地域については「高値で売りたい場合は長期ホールドも含めてじっくり売っていく」「短期で売り抜ける場合はお得感のある価格付けを行う」など、ある程度の見通しを立てて売り出すのがよいです。
中古住宅について
建物価格が上昇しているため、旧来であれば安価な土地+ローコスト住宅に向かっていた若年層が「状態の良い中古住宅」に流れてきている1年でした。また、住宅がある状態であれば郡部にも需要はあると感じた1年でもありました。
住み始めるために修繕やリフォームが必要な物件は人気がありませんでした。特に風呂がタイル・モルタル造りの場合はリフォーム代がかさむため厳しい印象があります。逆に、水回りがリフォーム済み・現在居住中の物件(すぐ住める物件)は少し強気の価格をつけても動く印象がありました。
本荘地域で場所が良くても、水回りが古い物件は難しい傾向があります。水回りが良ければ旧郡部でも需要はあります。
また、旧郡部で眺めの良いところ(眺望良好)なところは移住需要があります。特に西目・岩城地域は海の見える住宅、もしくは鳥海山が見える物件を求める方が多い印象です。
場所等の条件が悪くとも、ごく安価な物件の場合は、旧来の需要とは違う層に需要があることもわかりました。0~50万円程度の物件の場合、安価に住宅を仕入れて貸家業を始めたい方やリノベDIYをしてみたい方、倉庫や趣味用に安価な住宅を求める方など、思ってもみない需要がありました。
旧郡部で更地需要があまりなさそうな地域の場合、安価な価格付けを行ってみるのは1つの手だろうなあと思います。
賃貸需要
相変わらず貸家は枯渇しております。
TDKの寮が稼働するなどしてアパートの需要は落ち着いてきた感があります。サンタクマでは賃貸仲介薄目なのですが、その弊社にまで問い合わせがガンガン来る!という状況は脱しました。
ただ、「家族全員で転勤に来た」「建て替えのため短期で貸家に入りたい(アパートだと人数的にきつい)」「子供が夜泣きをするので戸建ての方が良い」「犬猫がいる」などで、戸建て貸家への需要は相変わらずあります。
「売ることは考えていないけど空き家のままにしておくのもな…」というような状態の良い物件・修繕費がかからなそうな物件であれば貸家にするのもよいと思います。
おわりに・買い時売り時について
毎年言っていますが、売り手側については、「周辺部は買い手が現れるのを粘り強く待つ」「人気のある地域に関しては、少し希望を高く持つのも良いかもしれないけれど、買い手が付いた時が売り時」という今までの傾向には変わりはありません。
周辺部の築古の中古住宅の場合、解体更地にするより安価な戸建ての方が買い手がつく傾向にありました。
水回り次第ではあるのですが、一度不動産屋に相談して見てもらうのもいいと思います。
買い手側も、これから先は住宅ローン金利も住宅価格も上昇していくため、良い土地を見つけたら早めに決断するのをおすすめします。
人口減少・学校の統廃合等、物価の高騰、物資の不足、などなど私たちを取り巻く環境は急激に変化しています。
多分、待っていれば価格が下がるデフレの時代は終わりました。
たまに「立地・景観・面積」の3拍子揃った物件がとんでもない処分価格で出ることがありますが、そういった物件は大抵、県外在住の方が田舎の土地を処分しようと思ってつけた値段です。あなたが「いい!」と思った物件は他の人も「いい!」と思っているため、早い者勝ちになる傾向が強いです。
中古住宅に関してはじっくり見て、良い物件を選んで、と言いたいところですがこれもやはりいいものは早い者勝ちです。
中長期のライフプランの計画を立てて、物価上昇も織り込んで、10年・20年後に満足して暮らせる家づくり/家の購入が出来ればなによりです。
令和6年の現状はこのような感じです。次回は9月の基準地価の発表のころになります。
それでは、お読みいただきありがとうございました!